交通事故治療の方法
しっかり診断しながら、状態をヒアリングします
レントゲン検査・正面像・側面像、他に斜位や開口位(口を開いた状態)で撮影を行います。根本的に重要なことは検査を確実に実行し診断することです。側面像では椎体の配列像をチェックします。
なお外傷直後は痛みにより、広範囲な筋肉の硬さ(疼痛性筋肉の収縮)によって、関節包、椎間板、靱帯等の重篤な障害が隠されることがあります。
従来のレントゲン像では確認が困難であるような場合は医師の判断によりMRI及びCT等の精査をし、軟部組織、前縦靱帯の断裂、椎体軟骨板の剥離、線維輪、椎間板の分離、損傷、椎間板ヘルニア等を判断します。この検査は比較的高額なので医師の判断で決まります。しかし強く痛みを訴える場合や腕にシビレが持続する場合に対しては早急にMRI及びCTは施行されます。
交通事故の治療方法
初期治療は基本的に極力安静が一番です。少なくとも1~2週間はカラー等で首を固定しながらアイシングや干渉波による消炎処置及び軽く愛護的なマッサージを行います。この2週間で症状が軽快し完治する患者さんは残念ながらまれです。その後の痛みに応じて、ホットパック(温める)、低周波干渉波(バキュー、プレート)、牽引、及びレーザー等の理学療法を施しつつ、当院では手によるマッサージを中心に診療を進めていきます。
重篤な捻挫、椎間関節の形態を失う程の骨折・脱臼(一側性)、神経根障害を伴う椎間板ヘルニア等の障害には椎間板切除、椎間固定、上位椎体と下位椎体にプレート及びスクリューを併用する手術もあります。
多くの場合、30~40歳以上の患者さんではムチ打ちをする以前より、加齢により椎間板病変が外傷以前より存在していることがあります。この現状に外傷が加わることにより、症状が著明に出て、長期診療が必要となるのだと私は考えます。
固定を外し、可能な時期になったら、今迄固定をして安静を保っていたため、筋力ダウンをした分、運動をしてもらうべく指導をします。例えば、骨を折ったらギプスを巻かなければ骨はつきません。しかし、ギプスをすると筋力は低下し、関節は拘縮(固く動かなくなります)これは裏腹ですが、仕方のないことです。その時期・時期で、今するべきことがあるのだと考えます。そのときでしか出来ない事は着実にしっかりとし、最終的な治癒までのプランを患者さんと一緒に考えることが大切だと私は考えます。
腰痛症とムチ打ち症は似ている部分があります。というのは、コルセット(固定)をすると患部は安静を保て、楽になりますが、周囲の筋肉が委縮し筋力のダウンがみられ、コルセットを外した後、首を支えづらくなると考えます。ですから、患者さんと私の判断で固定除去の時期を間違えないことが大切だと思います。
まずは我々が信頼されるべき努力をします。診療の第一歩はリラクゼーションから始まります。患者さんに合わせてマッサージを行います。私の浅はかな臨床経験ですが、診療というのは患者さんから「この先生に診てもらえば安心できる」から始まり、それは初診から我々がこの患者さんはどのような人格か、どのような刺激で診療を行えばいいのか、どのような会話が必要か(その患者さんの生活動作及び過去のこと、家族のこと等、治療をするうえで、そしてもう1つは患者さんの痛みを理解するうえで必要と私は考えます。)私は医師ではないので、その患者さんの死を見届けることは出来ません。しかし私が診て触れた患部に対して、私が全て治せなくてとも、その患者さんが死するまで責任を負う覚悟はあります。